シン・ガラパゴス ②
スマートフォンは、私たちにこれほど身近な製品でありながら、もはや生産する国内メーカーは一握りになった。かつて、独自の進化をとげた「ガラケー」の世界は、どんな変化をたどり、この先、どこへ向かうのか。
それは、「携帯電話の父」の、決意の場であったのかもしれない。
チノパンに白いスニーカー。スタッフとおそろいのポロシャツの胸には「iPhone5C」のロゴマークがつづられていた。
2013年9月20日、NTTドコモは、米アップルのスマートフォン「iPhone」の取り扱いを始めた。08年のソフトバンクから遅れること5年、国内通信大手では最後発。そして、最大の衝撃だった。
「幕が切って落とされました」。この日の発売イベントで、高らかに宣言したのは、ドコモ社長の加藤薫(73)。衆目が、日本の「携帯電話の父」と仰ぐ人物だ。
加藤の宣言は、これまで通信大手の主導の下で端末を作り続けてきた電機メーカーには、あたかも「生き残り競争」の幕開けのように響いたのかもしれない。
この日を境に、全国のドコモショップの店頭にiPhoneが並んだ。その勢いは、NECや富士通などの国内メーカーの勢いをはるかにしのいでいた。
■「iPhoneだけを…」半…